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「欧州フレームワークプログラムへの参画はなぜ難しいのか?」 平成28年度第2回大学研究力強化ネットワークカンファレンスを開催(2016/08/08開催)

<第1部>
欧州連合が推進する国際共同による研究開発及びその実証を支援するフレームワークプログラム(Horizon 2020)は、欧州外の国々も含めた幅広い研究者に門戸を開いています。一方で、プログラムへの参画には、複雑な書類手続きや研究資金の確保など様々な障壁のあることもわかってきました。リサーチアドミニストレーター(URA)など専門人材の役割も大きくなってきています。こうした背景を踏まえ、8月8日、大学共同利用機関法人自然科学研究機構(東京都港区)で、欧州フレームワークプログラムの推進に携わる方々と専門人材がそれぞれの視点で意見を述べ、問題点やその解決に向けた認識を共有するための勉強会を開催しました。
当日は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)、Horizon2020ナショナルコンタクトポイント、JEUPISTE Project、駐日欧州連合代表部科学技術部の関係者、大学URAなど30名が参加しました。
先ず始めに、JST国際科学技術部の久永幸博調査役よりSICORP(戦略的国際共同研究プログラム)の枠組みの中で実施されている「Horizon 2020との協働プログラムを含む事業」についてご講演をいただきました。「日欧のどちらかが利益を得るのではなく、日本にはない分野のEU研究者との協働による効果的な研究の推進など、国際共同研究による明確な相乗効果とそれによる付加的価値の創造が重視される」との説明がありました。また、国際研究グループ(コンソーシアム)内で日本人研究者が主体的な役割を担う事への期待が強調されました。URAに対しては、「Horizon 2020の制度について理解する上で必要な情報があればJSTから提供したい」ということや、「URAが申請前や採択後に必要な様々な手続きに寄与することを通して、研究者による国際的な研究活動が円滑に推進されることが期待される」とのコメントがありました。次に、大阪大学・経営企画オフィスのベーリン クリスチャン チーフリサーチアドミニストレーターより、「グローバル化と欧州助成金獲得支援による研究力強化促進体制づくリの課題および提案」についてご講演をいただきました。Horizon 2020への参画に関して、研究者のモチベーションを高めることの難しさが強調されました。また、「欧州側研究パートナーとの間で双方の資金制度や大学システムの違いに関する相互理解、更には相互協力による問題解決が重要ではないか」との指摘がありました。
参加者からは、「欧州側で採択された研究が日本側で不採択になった場合、国際研究グループにとって不利益になるのではないか?」といった質問があり、公的助成が通らなかった場合も想定して、研究機関自身が自立的に支援することの必要性についても問題提起がありました。「研究費の会計監査報告は日本側のみで大丈夫なのか?」という質問に対しては、参加者の中から欧州側への会計監査報告を求められた研究グループの事例共有がありました。更に、SICORPプログラム(マッチングファンド)以外の資金制度を活用するアイデアや、Horizon 2020のような国際プロジェクトに参画できる研究者・研究グループを育む取り組みなどについてURA間での情報共有を求める声がありました。Horizon 2020への参画において日本同様に欧州連合から資金提供を受けられない先進国のファンディングエージェンシー同士が各国の研究機関等の取り組みについて情報交換をし、それを日本国内の大学等と共有するような取り組みのアイデアもありました。
今回の勉強会では、欧州フレームワークプログラムへの参画を阻む問題、「資金」「研究者のモチベーション」「煩雑な手続き」などを解決するために、過去の事例に基づく知見や各大学の研究支援人材による取り組みの共有、またJSTや欧州委員会などを含む関係する様々な機関の人々による意見交換・事例共有の重要性が再認識されました。

<第2部>
日米の大学間で行われた研究連携構築の実例を使い、17名の参加者が2チームに分かれて戦略立案や連携交渉の演習を行いました。この演習は、普段接する機会の少ない他大学のURA同士でアイデアや技術の交換を行うと共に、勉強会終了後も互いに連絡を取り合えるような人脈の形成を目的に行われました。


科学技術振興機構(JST)・国際科学技術部 久永幸博調査役


大阪大学・経営企画オフィス チーフリサーチアドミニストレーター 
ベーリン クリスチャン博士


研究連携交渉の演習に取り組む勉強会参加者



(2016.10.11)